トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS

過去のセミナー/2011年度 の履歴(No.16)


2011年度 組合せ数学セミナー

Organizers:
  Yoshihiro Mizoguchi (Kyushu University),
  Tetsuji Taniguchi (Matsue College of Technology),
  Tsuyoshi Miezaki (Oita National College of Technology)

  • アドバイザー: 坂内 英一(上海交通大学/九州大学)

Advisary:
  Eiichi Bannai (Shanhai Jiao Tong University / Kyushu University)

第3回 2011年 9月 3日(土)

  • 場所: 九州大学 西新プラザ 中会議室(2F)
    (Location: Meeting Room, Nishijin Plaza, Kyushu University)
  • 時間: 13:00-18:00
  • 講演者: 髙妻倫太郎(立命館アジア太平洋大),三枝崎剛(大分高専),岩見智宏 (福岡工大),谷口 哲至(松江高専)...(順不同)
  • プログラム(Program, 講演順など詳細は未定)
    講演者(Speaker)タイトル(Title)
    13:00-13:05開会宣言(谷口 哲至)
    Opening (Tetsuji Taniguchi)
    髙妻 倫太郎
    (Rintaro Kozuma)
    Cubic surfaces associated to cyclic cubic extensions
    三枝崎 剛
    (Tsuyoshi Miezaki)
    G. Nebe の格子の周辺
    (Construction of G. Nebe's lattice and related topics)
    岩見 智宏
    (Tomohiro Iwami)
    亜群による商空間の構成とassociation aschemes
    谷口 哲至
    (Tetsuji Taniguchi)
    On fat Hoffman graphs with smallest eigenvalue at least –3
    総括(溝口 佳寛)
    Closing (Yoshihiro Mizoguchi)
 
  • アブストラクト(Abstract)

髙妻 倫太郎 (立命館アジア太平洋大学 国際経営学部)

  Rintaro Kozuma (Ritsumeikan Asia Pacific University)

  • タイトル(Title): Cubic surfaces associated to cyclic cubic extensions
  • アブストラクト(Abstract):

1980年代,Yu. I. Manin は楕円曲線の群演算の自然な類似として3次曲面(より一般に3次形式) に対してある種の2項演算を定義し,その代数構造を決定,数論的性質を研究した. 本講演では,代数体の3次巡回拡大のノルムから定義される3次曲面の有理点集合に対して, Manin とは異なる2項演算を定義し,現在分かっていることについて紹介したい. とくに,この2項演算は,3次曲面の平面切断により現れる楕円曲線への制限により, 楕円曲線のモーデル・ヴェイユ群の群演算に一致するという性質を持つ.

三枝崎 剛 (大分工業高等専門学校)

  Tsuyoshi Miezaki (Oita National College of Technology)

  • タイトル(Title): G. Nebe の格子の周辺
    (Construction of G. Nebe's lattice and related topics)
  • アブストラクト(Abstract):

昨年 G.Nebe により構成された、72 次元の extremal even unimodular lattice の構成法及び関連する話題を紹介します。

岩見 智宏 (福岡工業大学)

  Tomohiro Iwami (Fukuoka Institute of Technology)

  • タイトル(Title): 亜群による商空間の構成とassociation aschemes.
  • アブストラクト(Abstract):

[初めに] 拙論は、専ら(高次元)代数幾何に端を発した経緯に基づいており、 その為、貴セミナーの中心課題との整合性を鑑みて、 やや冗長ではありますが、このような主題を考えるに至った経緯等を、 概要というより口上として初めに以下に申し上げることにします:

[1] モジュライ空間は代数幾何での中心的な役割を持ちますが、 ごく簡単に言って、代数多様体の族をparametrizeする空間が非自明である時、 そのような族はモジュライを持つと言うことがあります。 ごく簡単な例として、実数平面上の直線の係数全体が、直線全体のなす族を parametrizeするとみて、このような族はモジュライをもち、 それは2次元実数空間の双対と同型であると考えることができます。 しかしながら、このようなパラメータ空間の中で本質的な部分、即ち、 もとの族を区別するようなものは何かと考えた時、自然な捉え方として、 同値類を導入することではないかと思います。 実際、Mumford氏により、Hilbertらの古典的不変式論をもとに、 このような”良い”同値類を構成するためには、 可解群で族を割ることでよい同値類の集まりであるモジュライ空間が構成されることが知られています (所謂、幾何学的不変式論 (Geometric Invariant Theory)、略してGIT)。こここでいう、”良い”という意味は、 割った空間が何時も、代数多様体のような良い性質を持つとは限らず、 時には解析多様体のような、ハウスドルフ性すら有しないこともあります。 その意味で、群で割ることは、同値類の構成としては自然であるけれども、 構成物から見ると、必ずしもそうでないことが窺えます。 M.Artin氏は、これらを含め、より一般的な枠組みで、このようなモジュライ、 即ち、良い商空間の構成を示しましたが、それが、代数空間(algebraic space)で1970代のことです。 一方、近年になり、1970年代後半から1980年代にかけて、 高次代数幾何や双有理幾何の分野で極小モデル理論が大きく進展し、 90年代に入り、その応用が進みました。 やや専門的になりますが、その流れの中で、 従来扱いが困難であった一般型代数曲面のモジュライのコンパクト化が V. Alexeev、森重文氏らにより達成されました。 恐らくそのような流れの中での副産物かと思われますが、 1995年頃に、森重文氏は S. Keel氏と共同で、 代数空間を念頭にして、Mumford氏のGITと異なる手法として、 亜群(groupoid)で割った商空間の構成を行いました。 亜群は群よりも条件が緩く柔軟である為、 割ってできた空間の位相的性質を、 GITの場合に比べて比較的扱いやすく論ずることが可能になります。

[2] このように、一言で「モジュライ空間の構成」と言いましても以上のような複数の方法があり、 それぞれ特色があることが窺えるかと思いますが、特に、 森重文-S.Keel両氏の亜群による商空間の構成はGITに比べ抽象的議論で構成できるもののその分、柔軟性が高いのですが、 まだ、一般型代数曲面のモジュライのコンパクト化等以外への応用はまだ進めらていない状況下と思います。 恐らく、御周知かと思われますが、このような話を見て、 (このようなモジュライ空間の構成の応用に関して)すぐに思いつくのは、 (2次元などの)商特異点の((uni-)versal)な変形空間の構成との類似等を想起するのではないかと思います。 実際、2次元商特異点のモジュライ空間は、Mckay対応を通じてguiverのモジュライで記述されるなど、 著しい性質を有しておることが知られていますし、モジュラー不変性などの介して、保型形式、モンスターなどとも 関係が深いことは知られています。しかしながら、高次元の商特異点のモジュライ空間は、現状では、 3次元では部分的にわかってはいるものの(近年の、石井亮氏(広大)らの研究など)、高次元の crepant resolutionの存在性がまだ示されていない等の著しい困難があります。

[3] 講演者(岩見)は、4次元の対数的フリップの存在或いは構成に際して現れる幾つかの例として、 対数的対の境界因子のconfigurationとして、それらがextremal curve(端射線)を含みかつ、 それにそって等特異的に(equidimensional)に対数的末端特異点である等の場合での対数的フリップの存在或いは構成について、 2000年頃の前後に関心を持った経緯があります。 generalな超平面切断により幾つかの条件下ではそのような存在は、 川又雄二郎氏により90年代後半に示されていましたが、一般の設定下では、4次元の対数的末端特異点の分類は未完成のため、 localなその特異点の性質を知ることさえ困難でした。 当時、私は、斎藤恭司氏が、80年代に原始形式(primitive form)を定義されたことを考慮して、 このような種類の端射線の周期写像を構成して分類空間を見てやることで、 例えば、この種の端射線の変形等を論じることが可能ではないかと思って試みた経緯があります。 ただ、原始形式は2次元の有理特異点の場合でも、analytic germ でしか構成されてなく大域的な構成は出来ていません。 これについては、斎藤盛彦氏が既に80年代に、混合Hodge加群の応用の際に指摘されていました。 このように原始形式をこの問題に適用することは結局できなかったわけですが、 これも近年の極小モデル理論の進展を受けて、並河良典氏(京大)が、 symplectic幾何により、一般次元のLie型の場合に、Brieskorn, Slodowy氏らによるGrothendieck構成に相当するものを代数幾何的に(globalに)構成することに成功されました。 このことは、上記のような4次元の端射線の例を一般的に含むものと思われます。 この並河氏の結果は少なくともChevalley群などの場合へも拡張可能かと思われますが、 一方、斎藤恭司氏は、原始形式について、 Chevalley群に相当するデータ(Chevalley data)のような組合せ論的なデータのみを与えることで、 ((uni-)versal)な変形空間の構成が可能であることを最近示されておられます。 このことは、より一般的な(組合せ論的な)データのみから、変形空間、 或いはモジュライ空間の構成が可能ではないかとの示唆を与えるようにも窺えますが…。 以上のような経緯を踏まえ、拙講演にて、講演者(岩見)は、 亜群による商空間の構成に際し現れる幾つかの基本的な定理等とassociation aschemesでの(基本的)性質との類似性等を論じたく思いますが、 まだ、十分な結果には至っていないことをお断り申し上げます。 (以上)

谷口哲至 (松江工業高等専門学校)

  Tetsuji Taniguchi (Matsue College of Technology)

  • タイトル(Title): On fat Hoffman graphs with smallest eigenvalue at least –3
  • アブストラクト(Abstract):

Hoffman graphs are a limiting object of graphs with respect to the smallest eigenvalue. To understand graphs with smallest eigenvalue –3, we investigate fat Hoffman graphs with smallest eigenvalue at least –3, using their special graphs. We show that the special graph of an indecomposable fat Hoffman graph is represented by the standard lattice or a root lattice. Moreover, we show that if the special graph admits an integral representation, that is, the lattice spanned by it is not an exceptional root lattice, then the special graph is isomorphic to one of the Dynkin graphs , , or extended Dynkin graphs or .

 

第2回 2011年 7月16日(土)

  • 場所: 九州大学 伊都キャンパス 数理棟 3F 中セミナー室7
    (Location: Seminar Room 7, Faculty of Mathematics, Kyushu University (Ito Campus))
  • 時間: 13:00-17:40
  • 講演者: 生田卓也(神戸学院大法),横山俊一(九大数理),中嶋 康博(熊本県技短),奥田隆幸(東大数理),野崎寛(東北大情報)
  • filePDFファイル
  • プログラム(Program)
    講演者(Speaker)タイトル(Title)
    13:00-13:05開会宣言(谷口 哲至)
    Opening (Tetsuji Taniguchi)
    13:05-13:45生田 卓也
    (Takuya Ikuta)
    Nomura algebra of nonsymmetric Hadamard models
    13:55-14:35横山 俊一
    (Shun'ichi Yokoyama)
    Monstrous Moonshine と計算機数論
    (Monstrous Moonshine and Computational Number Theory)
    14:45-15:35中嶋 康博
    (Yasuhiro Nakashima)
    On subcode by intersection of permutation equivalent two codes.
    15:45-16:35奥田 隆幸
    (Takayuki Okuda)
    一般ランクのコンパクト対称空間における Fisher type bound の類似について
    (Analogue of the Fisher type bound for compact symmetric spaces of higher rank)
    16:45-17:35野崎 寛
    (Hiroshi Nozaki)
    複素球面上の距離集合について
    (On complex spherical distance sets)
    17:35-17:40総括(坂内 英一)
    Closing (Eiichi Bannai)
 
  • アブストラクト(Abstract)

生田 卓也 (神戸学院大学法学部)

  Takuya Ikuta (Kobe Gakuin University)

  • タイトル(Title): Nomura algebra of nonsymmetric Hadamard models
  • アブストラクト(Abstract):

Jaeger and Nomura constructed nonsymmetric Hadamard models for link invariants from Hadamard matrices. These models are closely related to the Hadamard model originally constructed by Nomura.

In this talk, we explicitly construct nonsymmetric association schemes derived from the Hadamard graphs. Also, we show that the Bose-Mesner algebras of these association schemes coincide the Nomura algebra of the nonsymmetric Hadamard models. This is joint work with Akihiro Munemasa.

横山 俊一 (九州大学大学院 数理学府)

  Shun'ichi Yokoyama (Kyushu University)

  • タイトル(Title): Monstrous Moonshine と計算機数論
    (Monstrous Moonshine and Computational Number Theory)
  • アブストラクト(Abstract):

代数的組合せ論の研究においては、多くの点で数論的対象が密接に関わっており、 お互いに symbolic computation を援用しながら性質を調べていくという営みが多く見られる。 今回はその一つの例として、保型関数と Monster 群に纏わる研究について、計算機数論の視点から概説する。 また、本研究においては最近開発が急進展している計算機代数システム Sage が用いられており、これについても紹介する。

中嶋 康博 (熊本県立技術短期大学校)

  Yasuhiro Nakashima (Kumamoto Prefectural Colledge of Technology)

  • タイトル(Title): On subcode by intersection of permutation equivalent two codes.
  • アブストラクト(Abstract):

2つの符号があり、一方に置換を作用させると他方が得られるとする。 このような2つの符号の共通部分の次元は置換で定まると考えうる。 本講演では標数2の体上の符号について、共通部分の次元と置換の関係を説明し、 これに関連したある条件下の符号についての主張を紹介する。

奥田 隆幸 (東京大学大学院 数理科学研究科)

  Takayuki Okuda (The University of Tokyo)

  • タイトル(Title): 一般ランクのコンパクト対称空間における Fisher type bound の類似について
    (Analogue of the Fisher type bound for compact symmetric spaces of higher rank)
  • アブストラクト(Abstract):

球面上の代数的組合せ論においてよく知られる Fisher type bound は, 球面上のデザインと符号のバウンド, 及びそれらの繋がりを与える意味で重要な定理である. この定理の一般化を考えたとき, ランク 1 のコンパクト対称空間については, 球面の場合の類似にあたる Fisher type bound が知られている. ランクが 1 よりも大きなコンパクト対称空間については, これまで 実グラスマン多様体, 複素グラスマン多様体, ユニタリ群についての研究がなされている. また, 昨年5月の組合せ数学セミナーでは, コンパクト群をコンパクト対称空間とみなした場合に, 表現論の言葉を用いてデザインと符号に対応する概念を定義することにより, Fisher type bound が得られることを紹介した. 本講演では, 一般のコンパクト対称空間における Fisher type bound の類似について, これまでに得られている結果を紹介したい.

野崎 寛 (東北大学大学院 情報科学研究科)

  Hiroshi Nozaki (Tohoku University)

  • タイトル(Title): 複素球面上の距離集合について
    (On complex spherical distance sets)
  • アブストラクト(Abstract):

Delsarte–Goethals–Seidel (1977)が与えた,実球面上のデザイン,コード,距離集合の理論が,最近, Roy–Suda (2011)により複素球面へのデザイン,コード,距離集合の理論へと拡張された。 本講演では,複素球面上の2,3距離集合について議論したい。 複素球面上の距離集合と,実球面上の距離集合の関係を紹介し, 小さな次元で,元の個数が最大である複素2,3距離集合の分類を与える。 本研究は,東北大学情報の須田庄氏との共同研究である。

 

第1回 2011年 4月23日(土)

  • プログラム(Program)
    講演者(Speaker)タイトル(Title)
    13:00-13:05開会宣言(谷口 哲至)
    Opening (Tetsuji Taniguchi)
    13:05-13:45Xavier DahanRamanujan graphs of very large girth based on octonions
    13:55-14:35Kirill MorozovIntroduction to code-based public key encryption.
    14:45-15:35野崎 寛
    (Hiroshi Nozaki)
    グラフの埋め込みから得られる2距離集合について
    (Euclidean representations of a graph as two-distance sets.)
    15:45-16:25栗原 大武
    (Hirotake Kurihara)
    excessとアソシエーションスキームについて
    (On excesses and association schemes)
    16:35-17:15坂下 一生
    (Issei Sakashita)
    Introduction to Coq Proof Assistant System.
    17:15-17:20総括(溝口 佳寛)
    Closing (Yoshihiro Mizoguchi)
 
  • アブストラクト(Abstract)

Xavier Dahan (九州大学大学院 数理学研究院)

  Xavier Dahan (Kyushu University)

  • タイトル(Title): Ramanujan graphs of very large girth based on octonions
  • アブストラクト(Abstract):

(J-P Tillichとの共同研究 : arXiv:1011.2642)
In a celebrated 1988's article, Lubotzky-Philipps-Sarnak introduced the notion of "Ramanujan graphs". They are defined as regular, undirected, connected graphs whose spectral gap reaches the Alon-Boppana's bound. These graphs had a huge impact mainly because they are then good "expander" graphs (highly connected while sparse graphs). They also hold interesting combinatorial properties : they have a large girth, a small diameter, a large chromatic number. These properties are very hard to achieve simultaneously ! Indeed, since 1988, despite numerous efforts, no other construction has improved these results. We will present a new construction of Ramanujan graphs, that significantly improve these properties.

Kirill Morozov (九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)

  Kirill Morozov (Kyushu University)

  • タイトル(Title): Introduction to code-based public key encryption.
  • アブストラクト(Abstract):

In this talk, we will present two code-based public-key encryption (PKE) schemes: the McEliece PKE and its dual, the Niederreiter PKE. We will discuss underlying computational problems, review basic attacks, and provide some evidences why these schemes are believed to be "oneway" (OW) — a very basic and intuitive security notion. Next, we will present a simple trick which will upgrade these schemes in order to achieve "semantic security" (also known as "security against chosen plaintext attack") — another basic notion, which is believed to be a minimal requirement for security of modern PKE. This talk is targeted at a general mathematical audience.

野崎 寛 (東北大学大学院 情報学研究科)

  Hiroshi Nozaki (Tohoku University)

  • タイトル(Title): グラフの埋め込みから得られる2距離集合について
    (Euclidean representations of a graph as two-distance sets.)
  • アブストラクト(Abstract):

ユークリッド空間上の有限個の点の集合 X で,異なる2点間のユークリッド距離の集合( )のサイズが2であるものを2距離集合と呼んでいる。 例えば, 上の正方形の頂点集合は,辺と対角線にあたる2つの距離があるため,2距離集合である。 X を頂点集合とし,短い距離を持つ2点を辺で結べば,そこにはグラフの構造を入れることが出来る。 逆に単純グラフを与えたときに,グラフの構造を持つ2距離集合として,何次元の空間に実現できるかが最近Roy(2010)により示された。 本講演では,グラフの2距離集合としての埋め込みについて,Einhorn–Schoenberg(1966), Roy(2010)などの結果を紹介し,新しい結果として,その埋め込みがいつ球面に乗るかを議論したい。 さらに時間が許せば,埋め込みから得られる強正則グラフの新しい特徴づけも紹介する。
(篠原雅史氏との共同研究)

栗原 大武 (東北大学大学院 理学研究科)

  Hirotake Kurihara (Tohoku University)

  • タイトル(Title): excessとアソシエーションスキームについて
    (On excesses and association schemes)
  • アブストラクト(Abstract):

を直径 d の連結な正則グラフとし, 頂点 x から距離 d の位置にある点の個数を x の excess と呼び であらわす. excess theorem とは, excess の平均値 が, グラフの固有値とその重複度によって決まる定数で上から抑えられ, 更にその等号が成立する為の必要十分条件が, このグラフが距離正則グラフになるということである. つまり,グラフの隣接関係を用いたアソシエーションスキームの構造が入るかどうかを調べるには, グラフの excess を見ればよい.

本講演では,栗原–野崎によって得られた P 多項式スキームの同値条件を excess theorem の立場から紹介する. 更に,グラフの代数的に双対な概念にあたる多項式空間に対してある不等式を与え, その不等式の等号成立と多項式空間が Q 多項式スキームになることが同値であること (つまり多項式空間に対する excess theorem)について述べる.

坂下 一生 (九州大学大学院 数理学府)

  Issei Sakashita (Kyushu University)

  • タイトル(Title): Introduction to Coq Proof Assistant System.
  • アブストラクト(Abstract):

Coq は INRIA によって開発されたコンピュータ上で数学の証明を行うソフトウェアです。 この Coq は4色問題の完全な形式的証明が記述され, 検証出来ることでも知られています。 今回はこの Coq を使って簡単な問題を証明と検証を行うことで基本的な使い方とその可能性をご紹介したいと思います。